この記事で解決できる疑問・悩み
1.介護職の給料って安いって聞くけど実際どうなの?
2.介護職の給料が安い理由はなに?
3.どうすれば給料を増やすことができるの?
今回は、これらの疑問やお悩みを全て解決します。
記事を書いている人
Ke
職業:介護施設経営、経営コンサルタント
経歴:大手証券(営業)→大手不動産(経営企画)→大手転職サービス(部長)→起業(代表取締役)
1,000人以上の面接・採用意思決定を経験し、介護施設を10年経営しています。
"経営者(採用する側)"の視点から、求職者(採用される側)の方を成功に導くお仕事情報をお届けしています。
この記事のゴール
1.介護職の給料の実態が分かる
2.介護職の給料が上がりにくい理由が分かる
3.給料を増やすための具体的な方法が分かる
「介護の仕事に興味があるけど、ネットで『給料が安い』って書いてたから迷ってる」という声をよく耳にします。
そこで今回は「介護職の給料の実態」を明らかにしていきます。
また「介護職の給料が上がりにくい理由」についても紹介しますね。
さらに、介護業界は今「年々給料が増加傾向」にあり将来性豊かなことと「給料を増やすための方法」についても、解説していきます。
業界全体として給料が低いのには、介護業界特有の構造的な理由があり簡単に変えることはできません。
でも、あなたの努力次第で、自分の給料をアップさせることは比較的簡単です。
ぜひ最後まで読み、給料を増やすために必要なチャレンジをしてくださいね!
それでは、スタートです。
目次
介護職の実際の給料額
はじめに、介護職(常勤正社員)の給与が実際にどのくらいなのかを見てみましょう。
平均給与(月収) | 平均給与(年収) |
31.5万円 | 379.0万円 |
出典:厚生労働省 『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果』
産業全体の平均給与(年収)は「503.4万円」(出典:国税庁『令和元年分 民間給与実態統計調査』なので、介護業界の給与は低い水準といえますね。
介護の現場は、労働時間や休日が不規則で、身体的な負担も少なくありません。
また、慢性的な人材不足で、事業所によっては1人にかかる負担も大きくなりがちです。
でも、仕事量の割には給与は高くない、というのが実情でしょう。
介護事業所の収益の仕組み
さて、介護職の給料が低い理由を説明する前に、介護事業所はどのように売上を上げて利益を出しているのか、その仕組みを解説します。
1.売上は大きく分けて2つ
介護事業所の売上は、大きく2つに分けられます。
1つは、介護保険制度に基づいて「介護サービス」を提供することで国から支払われる「介護報酬」です。
40歳以上の人が毎月支払う「介護保険料」を原資に、国からサービス利用料の7割~9割が支払われ、ご利用者様が実際に支払う金額は1割~3割(所得により変動)のみなんですね。
そして2つめは、食事代や宿泊代など、介護サービス以外の対価である「介護保険外サービス」利用料です。
こちらは、ご利用者様やご家族様に全額支払っていただきます。
2.売上の大半は「介護報酬」
ここでポイントなることが2つあります。
それは、介護事業所の売上のほとんどが「介護報酬」であることと、この介護報酬は「事業所で自由に設定できない」ことですね。
「介護保険外サービス」のように、ご利用者様が全額自己負担するものは、各事業所が自由にサービス料金を設定できます。
例えば、同じようなデイサービスでも、昼食代が500円のところもあれば800円のところもあり、価格設定は各事業所の自由です。
対して介護報酬は、介護保険制度に基づき地域やサービス毎に国が一律で決めているため、事業所側で勝手に変えることはできないんですね。
そして、この介護報酬は、少子高齢化が進み介護保険の財源が年々厳しくなっているため、決して十分な額ではないのが現実です。
3.売上と費用のコントロールが困難
さらに、介護保険法では、介護サービス料金だけではなく「利用定員」や「スタッフの配置数」も決められています。
1事業所で1日に利用できる定員数が決まっているため、ニーズがあっても定員以上のご利用者様を獲得することはできません。
また、ご利用者様の数が減って経営が苦しくなっても、ご利用者様1人当たりの必要なスタッフ数が決まっているため、簡単に人件費を減らすこともできないんですね。
「サービス料金」、「利用定員」、「必要なスタッフ数」の3つが決められていることで、介護事業所は売上と費用のコントロールが難しいといえます。
介護職の給料が安い3つの理由
では、いよいよ、介護職の給料が安い理由について解説していきます。
結論は、主に以下の3つですね。
介護職の給料が安い3つの理由
1.売上と費用のコントロールが困難
2.就業のハードルと社会的評価の低さ
3.将来への備えが優先されている
順に見ていきましょう。
1.売上と費用のコントロールが困難
前の章でも触れた通り、介護業界特有の構造的な課題に基づいた、最も大きな理由ですね。
前述の通り介護事業所は、ご利用者様の数が減った時でも「介護サービス料金」を上げることはできません。
そして、好調の時に少しでも多く収益を獲得するために利用定員を増やすこともできません。
一方、介護事業所の費用の大半は人件費です。
こちらも前述の通り、最低限配置すべきスタッフ数は決まっているため、ご利用者様の数が減った時でも規定以上にスタッフを減らすことはできません。
また、スタッフを減らすことはサービスの質の低下や事故につながることもあるため、人件費の削減は簡単ではありません。
稼働率が高い時に合わせ十分なスタッフを雇用しつつ、稼働率が下がっても簡単に人件費をカットできないため、もともとの給与を低く抑える傾向にあるんですね。
2.就業のハードルと社会的評価の低さ
介護の仕事は、無資格でも従事できます。
本来の介護は、難易度別に資格が細分化されている専門性の高い仕事で、資格がないとできない業務や就けない職種もあります。
また、資格を取得すると資格手当がついたり職位も上がり、給与は相応増えます。
しかし、入浴や排泄、移動などの介助や、調理、掃除などの日常的な業務が多く「誰でも簡単にできる就業のハードルが低い仕事」と捉える人も少なくないですね。
そのため、資格や高度な専門性が必要とされる他業界に比べ、社会的な評価が低く給与も上がりづらいといえるでしょう。
また経営者側も、人手不足のため未経験者でも積極採用するため「専門性の低い無資格の給与が安い人材」が一定数存在し続けることも理由といえますね。
3.将来への備えが優先されている
介護業界の特性上、将来への備えが優先されがちなことも理由の1つです。
介護事業所は売上と費用(人件費)のコントロールが難しいことは先ほど説明しましたね。
売上は、国の介護保険制度に依存し、概ね3年ごとに介護報酬の改定があります。
傾向としては、介護報酬は減少傾向にあり、介護事業所の売上も年々厳しくなっています。
しかし、介護報酬がマイナスに改定されても、事業所はスタッフを雇用し給料を支払い続けなければなりません。
また、介護事業所は相応の土地や建物、機材が必要なため、開設時に多額の費用がかかります。
そして、使用するにつれて年々建物や機材は劣化するため、修繕や買い替えが必要になってきます。
これらから、将来の売上減少リスクや設備投資に備え、介護事業所は社内に利益を十分に蓄えておく傾向にあります。
そのため、介護職へ配分される給与が低く抑えられてしまいがちなんですね。
なお、給料が安いため「介護職は底辺で負け組の仕事」だと悩んでいる方は、ぜひこの記事を読んでください。
読み終えると、介護は貴重で尊い仕事であることと、底辺や負け組と口にする人の特徴と口にする理由、「底辺」から抜け出す方法が分かりますよ!
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【介護経営者のお悩み相談】介護職は底辺で負け組?と悩むあなたへ
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介護職の給料は年々増えている
ここまで読んできて、介護業界の給料の安さに悲観している方は安心してください!
実は介護業界は今、国が主導して介護職の収入の増加を推進しているんですよ。
それは「介護職員処遇改善加算」という取り組みです。
具体的には、介護職の給与や研修制度を充実させている事業者を経済的に優遇する制度で、介護職の給与アップと介護従事者を増やすのが目的ですね。
深刻な人材不足の改善のため、特に2015年4月から一層支援額が充実し、実際に介護職の給与が年々上昇傾向にあります。
また、2020年時点で28.7%の日本の高齢化率は、2045年には36.5%になると想定されています(総務省調べ)。
よって、介護の仕事は今後も長期的に必要とされ続けることに、疑いの余地はありませんね。
給与が上昇傾向で、将来性があり、景気の波に左右されず長期間安定して働き続けられる介護業界は、実はたくさんメリットがあるんですよ。
なお、介護職の仕事について幅広く知りたい方は、こちらの記事を読んでくださいね。
これを読めば、仕事内容や職場、給与、魅力やメリット、やりがいが手に取るように分かりますよ!
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介護職の仕事って?内容や給与、魅力・やりがいを介護経営者が解説!
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給料を増やすための5つの方法
ここまでで、介護職の給与が上がりにくいのには、介護業界特有の構造的な理由が大きいことが分かったと思います。
また、少しづつですが年々給与が増加していることにも分かりましたね。
では、ここからは、あなた自身の努力により給料をアップさせる方法を5つ紹介します。
具体的には、以下の5つがあります。
給料を増やすための5つの方法
1.夜勤の回数を増やす
2.資格を取得し資格手当を得る
3.1つの事業所に長く勤務する
4.管理職を目ざす
5.より待遇の良い事業所へ転職する
では、1つずつ解説します。
1.夜勤の回数を増やす
夜勤のある事業所に勤務している方は、夜勤の回数を増やしてもらいましょう。
夜勤は、拘束時間が長いことや少人数で行うため負担が大きいことから、多くの事業所は「夜勤手当」を設けています。
夜勤の回数を増やすことで「夜勤手当」に加え、25%の「深夜割増賃金」が得られるので、収入を増やす一番の近道といえますね。
なお「夜勤の仕事は資格なしでもできるの?」と疑問の方は、こちらの記事で解決できますよ!
これを読めば、その答えと夜勤の業務内容、無資格で夜勤をする時の3つの注意点と夜勤をする2つのメリットが明らかになります。
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介護の夜勤は無資格でもできる!業務や注意点を介護経営者が解説!
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また「1人で夜勤をするのが不安」と悩んでいる方は、この記事を読んでみてください!
「一人夜勤で不安を抱く5つのこと」と「不安を取り除くための4つの対処法」、「一人夜勤のメリット」について詳しく解説しています。
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2.資格を取得し資格手当を得る
上記と同時に行うべきことは、資格の取得です。
介護の資格は、難易度別に「介護職員初任者研修」、「介護福祉士実務者研修」、「介護福祉士」、「ケアマネージャー」などがあり、上位資格になるほど給与(手当)が増えます。
実際の資格別の平均給与を見てみましょう。
保有資格 | 平均給与(月収) |
なし | 27.5万円 |
介護職員初任者研修 | 30.1万円 |
介護福祉士実務者研修 | 30.3万円 |
介護福祉士 | 32.9万円 |
介護支援専門員(ケアマネージャー) | 36.8万円 |
出典:厚生労働省 『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果』
無資格と介護福祉士では、5万円以上の差があることが分かりますね。
介護福祉士は3年以上、ケアマネージャーは5年以上の実務経験が必要なので、まずは「介護職員初任者研修」を取得し、その後さらに上位の資格を目ざすと良いでしょう。
なお、介護業界にはどんな職種があり、どんな資格が必要なのかを知りたい方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
これを読めば、職種と仕事内容、活躍できる事業所、必要な資格などが全て分かりますよ!
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介護の11職種を一覧に!仕事内容と必要な資格を介護経営者が解説
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3.1つの事業所に長く勤務する
1つの事業所に長く勤務することで昇進・昇格し、給与が上昇するのが一般的です。
実際に、勤続年数と給与の関係を見てみましょう。
勤続年数 | 平均給与(月収) |
1年 | 28.3万円 |
5年 | 29.6万円 |
10年 | 32.6万円 |
15年 | 34.8万円 |
20年以上 | 39.0万円 |
出典:厚生労働省 『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果』
大きな不満や負担がない場合は、勤続年数を重ね長年活躍することで昇給を目ざせますね。
4.管理職を目ざす
管理職になることで、給与は大幅アップが見込めます。
大きな責任を負う分、給料が増えるのは当然といえますね。
では、実際に管理職と非管理職の給与の差を見てみましょう。
職位 | 平均給与(月収) |
管理職以外 | 30.8万円 |
管理職 | 34.3万円 |
出典:厚生労働省 『令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果』
時間はかかりますが、経験を積みながら資格を取得し、勤続年数を重ねることで実現できますよ。
5.より待遇の良い事業所へ転職する
現在の給与に不満がある場合は、より待遇の良い事業所へ転職するのも有効です。
条件や待遇は、事業所によって千差万別で、同じような規模で仕事内容も似ているのに、給与が異なるケースはよくあります。
また、求人票に書かれた給与が高いからといって安易に入社を決めると、労働環境が劣悪というケースもあります。
「理念やビジョンに共感でき、雰囲気や社風が合い、残業が少なく休日も十分あり、給与も高い」事業所があれば最高ですが、そのような事業所を探し出すのは至難の業です。
その場合は、私が自信を持ってお勧めする「介護業界専門の優良な転職サービス」を利用してみてくださいね。
介護の転職サービスは「サイト型」と「エージェント型」の2つに分かれています。
「サイト型」は、求人の検索から応募、面接の段取りまで全て自分で行わなければなりません。
対して「エージェント型」は、求人の検索から選別、応募までを全て専門家(キャリアアドバイザー)が代行してくれるんですよ。
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その豊富な業界知識と情報を基に、あなたに適した事業所を紹介してくれるため、ミスマッチの可能性が格段に減りますね。
ちなみに、数ある中から私が厳選した、自信を持ってお勧めする転職サイトは下記の5つです。
サイト名 | サイト形態 | 求人数 | 対応地域 | サポート |
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なお、1つずつ解説するにはボリュームが多いため、詳しくはこちらの記事を読んでください。
かなりの長文ですが、転職サイトの選び方や特徴などを徹底的に解説しています。
これを読むと、優良な転職サイトと事業所に巡り合い満足度の高い転職を実現できますよ!
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転職と介護のプロ経営者が厳選!今使うべき5つの介護転職サイト
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また、介護職に転職しようと決意したなら、絶対に失敗したくないですよね。
この記事を読むと、介護職への転職に成功するための秘訣が分かり、きっと良い結果が生まれますよ!
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失敗しない!介護職への転職に成功する秘訣を介護経営者が解説
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まとめ
では、最後に改めて内容を振り返りましょう。
今回解決した疑問や悩みはこの3つでした。
1.介護職の給料って安いって聞くけど実際どうなの?
2.介護職の給料が安い理由はなに?
3.どうすれば給料を増やすことができるの?
介護職の実際の給料が高くないことは、予想通りだったでしょうか。
また、給料が高くならないのには、介護業界特有の構造的な理由があることを初めて知った方もいたことでしょう。
そして、介護業界は、国主導で待遇改善を図っており、実際に年々給料が上昇していることも分かりましたね。
さらに、自分の努力で給与をアップさせる方法が5つあることも解説しました。
依然低いものの給与水準は上昇傾向にあり、景気に左右されず安定して長く働ける介護業界は、将来性に溢れています。
また、深刻な人材不足から、未経験・無資格でも引く手あまたで、転職が比較的容易です。
つまり、介護業界への転職は今が絶好のチャンスなんです。
ぜひ、この素晴らしい介護業界に飛び込んできてくださいね!
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では、今回はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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