この記事で解決できる疑問・悩み
1.ご利用者様がわがままなのはどうして?
2.ご利用者様のわがままにどう接して対応すればよいの?
3.効果的なストレス発散法を知りたい
今回は、この全ての疑問やお悩みを解決しますよ。
記事を書いている人
Ke
職業:介護施設経営、経営コンサルタント
経歴:大手証券(営業)→大手不動産(経営企画)→大手転職サービス(部長)→起業(代表取締役)
1,000人以上の面接・採用意思決定を経験し、介護施設を10年経営しています。
"経営者(採用する側)"の視点から、求職者(採用される側)の方を成功に導くお仕事情報をお届けしています。
この記事のゴール
1.ご利用者者様のわがままの原因が分かる
2.ご利用者様のわがままへの向き合い方と対処法が分かる
3.ストレスを感じた時の発散の仕方が分かる
「ご利用者様がわがままでイライラする」。
「いつか爆発しそう」。
介護の仕事をしていると、こんな気持ちになることもありますよね。
こんな時、うまく対応できる人は意外に少ないかもしれません。
そこで今回は「ご利用者様がわがままになる4つの理由」を明らかにしながら、「接する時の3つの心構え」と「わがままへの5つの対応法」について解説します。
また「ストレスが溜まった時の発散方法」も紹介しますよ。
読み終えると「どのような気持ちで」、「どう対処すれば良いか」が明確になり、ストレスも解消されますよ。
では、始めましょう!
目次
わがままの裏にある「気持ち」を汲み取ろう
介護職の役割は「ご利用者様が自立して自分らしい生活を送るためのサポ―トをすること」です。
では「お客様」であるご利用者様の希望には、何でも応えてあげるのが良いのでしょうか?
それは、限りある時間とスタッフ数でサービスをしている介護施設にとっては、現実的ではありません。
よって、度が過ぎる「わがまま」に対応できないことは、致し方ないといえますね。
ご利用者様が介護職に対してわがままを訴えるのには、理由があります。
大切なのは、単に「わがまま」で片づけるのではなく、ご利用者様のわがままの裏に隠された「背景」を考えること。
その背景にあるご利用者様の「気持ち」や「思い」が分かれば、わがままな言動を取る理由を理解でき、適切な対応ができるようになります。
なお、どんなにイライラしたとしても、介護現場では決して使ってはいけない言葉が10種類あります。
この記事を読んで、使ってはいけない言葉と正しい言葉遣いについて知識をつけ、正しいケアを行ってくださいね。
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介護現場で絶対に使ってはいけない10の言葉を介護経営者が解説!
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介護ご利用者様がわがままを訴える4つの理由
では、ご利用者様がわがままを訴える理由を具体的に解説します。
概ね、理由は以下の4つが考えられます
ご利用者様がわがままを訴える4つの理由
1.脳に関する疾患を持っている
2.不安やストレスを抱いている
3.孤独や淋しさを感じている
4.何でもやってもらえると思っている
では、1つずつ見ていきましょう。
1.脳に関する疾患を持っている
脳に関する疾患のある方は、時に「わがまま」と思われるような言動が見られます。
認知症や、脳卒中などが原因で脳の機能に障害が出る「高次脳機能障害」などが主なものですね。
急に怒ったり暴言を吐くなどの言動が見られるため「わがまま」を訴えていると思われてしまいます。
でも、それはあくまでも「疾患」のため感情のコントロールができなくなっていることが原因です。
ご利用者様が周囲を困らせるために意図的に「わがまま」を訴えているのでは決してありません。
ご利用者様自身も混乱し苦しんでいることを理解し、優しく受け入れる姿勢が大切ですね。
2.不安やストレスを抱いている
要介護のご利用者様の多くは、自分の将来に不安を抱きストレスを感じています。
病気や衰えからくる将来への不安、思うように身体を動かせないことへのストレス、介護職の世話になっているという嫌悪感・・・。
多くの負の感情が織り交ざり、やり場のない気持ちが介護職に向かうこともあるでしょう。
「自分の気持ちを理解してほしい」という気持ちの現れが、「わがまま」に聞こえてしまうんですね。
3.孤独や淋しさを感じている
家族と離れ他人の介護を受けているご利用者様のほとんどは、孤独や淋しさを感じています。
実際、私の経営する施設のご利用者様の中にも「自分は独りぼっちだ」、「家族に捨てられたんだ」という方がいます。
家族と一緒に暮らせない孤独感、家族にお世話をしてもらえない淋しさは、どれだけ辛いことでしょう。
「自分をもっと気にかけてほしい」という気持ちが、過剰な自己主張や自己顕示などの「わがまま」の裏に隠れているんですね。
4.何でもやってもらえると思っている
介護を必要とするご利用者様の中には、介護職に何でも任せきりの方がいます。
もちろん、寝たきりの方などは、介護職が全てサポートする必要がありますよね。
でも、介護度も低く特別な疾患もない方でも、介護職を「家政婦」のように捉えいろんな要求をしてくる方も存在します。
「自分は要介護なんだから」、「お金払っているんだから」という気持ちが、わがままの背景にあるんですね。
【腹を立ててはダメ】こんな気持ちで接しよう
ご利用者様がわがままを訴える理由は分かりましたね。
大切なのは、それが意図的かどうかに関わらず、わがままの「背景」を考え相手の「心情」や「思い」を理解してあげようという気持ちです。
ここからは、介護職としてどんな気持ちや心構えでわがままなご利用者様に接したら良いのかを紹介しますね。
ポイントは、以下の3つです。
わがままなご利用者様との接し方 3つのポイント
1.自分とご利用者様の違いを認識する
2.異なる価値観を受け入れる
3.ご利用者様に敬意を持つ
では、順に解説します。
1.自分とご利用者様の違いを認識する
まずは、自分と人とは違うことをしっかりと認識しましょう。
人はそれぞれ、生まれ育った場所や環境が異なります。
街も違えば親も違い、家族構成や学校、勤務してきた職場も全て違いますよね。
だから、性格や考え方などたくさんの違いが生まれるのはごく当然といえるでしょう。
世の中にはいろんな人がいて、自分とは違ういろんな性格や考え方で生きていることを、改めて意識しみてくださいね。
2.異なる価値観を受け入れる
自分とは異なる価値観を尊重し、受け入れることが重要です。
人はそれぞれ性格も考え方も違うので、同じものを見たり聞いたりしても、自分と同じように捉えるわけではありません。
だから、自分の価値観で自己主張をすることは大事ですが、単に我を通すだけではいけません。
自分と異なっていても、相手の価値観を受け入れ、尊重することが大事ですよ。
介護は「人の手助けがないと自力で生活するのが難しい方をサポートする」仕事です。
ご利用者様は、自分の心身を思うようにコントロールできず、たくさんの不安やストレス、孤独や淋しさを抱いています
そんなご利用者様の立場に配慮し、ありのままを優しく受け入れてあげる気持ちが、介護職に必要な資質といえますね。
3.ご利用者様に敬意を持つ
ご利用者様の置かれた状況を理解し、尊敬し敬意を払うことも大切です。
自分がご利用者様の立場になった場合を想像してみましょう。
自分のことも自分で思うようにできず、家族と離れ他人の介助を受けているあなたは、時には自己嫌悪になったり周囲に当たりたくなると思いませんか?
ご利用者様は、そんな状況や環境を全て受け入れ、必死で耐えているんですよ。
その姿は「尊敬」に値するのではないでしょうか?
もちろん、わがままがひどく腹が立つこともあるでしょう。
でも「敬意」を持って接することを意識すれば、気持ちも落ち着き少し楽になることでしょう。
なお、介護現場で重視されている「接遇」について学んでみると良いかもしれませんよ。
この記事を読めば、ご利用者様に対する意識が変わり、多くの方に信頼され愛される介護職になれるでしょう。
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介護職は接遇を学ぼう!基本知識と習得のメリットを介護経営者が解説
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ご利用者様のわがままへの5つの対応法
ここまでで、ご利用者様がわがままを訴える理由が分かったことと思います。
また、接する際の心構えも理解できたことでしょう。
「理由」が分かれば「対策」ができます。
ここでは、ご利用者様のわがままへの対応法を5つ紹介します。
具体的には、以下の5つがあります。
ご利用者様のわがままへの5つの対応法
1.疾患についての理解を深める
2.信頼関係を築く
3.精神面の満足を提供する
4.役割を持ってもらう
5.サービスの線引きを明確にする
では、1つずつ見ていきましょう。
1.疾患についての理解を深める
脳に関する疾患について、より知識を深めることが大切です。
前述の通り、認知症や高次脳機能障害などの脳に関する疾患が原因で、本人も意図しない「わがまま」な言動が見られることがあります。
でも、ここで大切なのは「病気だから仕方がない」といった気持ちではなく、「その疾患について詳しく理解すること」ですね。
疾患への理解が深まれば、対応の仕方が分かり対応の引き出しも増えます。
そして、試行錯誤しながら多くの対応を経験することで、あらゆるケースで適切な対応ができるようになり自身も深まりますよね。
結果的に、ご利用者様の気持ちも穏やかになり、介護職としてあなた自身も一回り成長できるでしょう。
2.信頼関係を築く
信頼関係を築くことで、ご利用者様の言動や態度が変わってくることもありますよ。
ご利用者様は「自分のことをわかってほしい」、「もっと気にかけてほしい」と思うあまり、わがままを訴えるケースも多いです。
逆を返すと「自分を分かってくれている」、「いつも気にかけてくれている」と思ってもらえるような信頼関係が築けたら、わがままは減ることでしょう。
始めは大変かもしれませんが、わがままに誠実に真剣に対応することで信頼関係が生まれます。
同時に、不安や孤独感が減ることで、接する態度も変わってくることもありますよ。
3.精神面の満足を提供する
精神面が充実していると、わがままを訴えることも限定されますね。
ご利用者様のわがままの背景には、不安やストレス、孤独や淋しさがあることはすでに説明した通りです。
つまり、心が満たされ充実しているときは、このような言動はさほど見られなくなります。
特技を活かせるレクリエーションや好きなイベントなど、ご利用者様が夢中になれる活動の提供や、十分なコミュニケーションにより精神面の満足を提供しましょう。
それにより生きがいや喜びを感じてもらえたら、サポートするのが楽しくなりますよね。
4.役割を持ってもらう
何らかの役割を担ってもらうことで、ご利用者様に存在意義を感じていただくことも効果的ですね。
例えば私の施設では、各々の特技に合わせて「食器拭き」、「床掃除」、「洗濯物たたみ」などの役割を担っていただいています。
そして「任されている」、「人の役に立っている」という自己肯定感から存在意義を感じ、それが生きる自信にもつながっていますね。
事故や怪我のないよう、簡単なことで構いません。
生きる自信を取り戻すことで、過剰な要求やわがままを訴えることは格段に減ることでしょう。
5.サービスの線引きを明確にする
事業所の方針に合わせ、提供するサービスを明確にすることも重要です。
介護事業所はどこも、限られた時間と人員でサービスを行っていますよね。
過剰な要求やわがままが業務効率を低下させるだけでなく、スタッフの疲弊を招きます。
そのため、できるサービスとできないサービスをはっきりさせ、事業所内で統一しておきましょう。
その際は、スタッフによって対応にばらつきがないよう注意してくださいね。
あらかじめ「できないこと」を理由とともに明確に伝えておくことが、理不尽な要求やわがままを防ぐことにつながります。
ストレスが溜まった時には
さて、ご利用者様のわがままへの対応法が分かっても、うまくいかないケースもあります。
そして、ストレスを抱えてしまうこともあるでしょう。
そんな時は、どうすれば良いでしょうか?
ここでは、ストレスの解消法を紹介します。
人に話を聞いてもらう
一人で悩んでいてもストレスはいつまでも解消できません。
遠慮せず、周囲の人に話を聞いてもらうことで発散できますよ。
それにより、気持ちも落ち着きますよね。
また、複数の人に聞いてもらうことで、新たなストレス解消法のアイディアが生まれるかもしれません。
ただし、同じ職場の同僚へ話すことは避けた方がよいでしょう。
それが巡り巡ってご利用者様の耳に入ってサービスに影響が出たり、人事担当者へ愚痴や不満として伝わり評価に影響することもありますよ。
スポーツなどで身体を動かす
適度に身体を動かすことはストレスの解消につながります。
血行が促進され緊張感がほぐれ、リラックス効果を得ることができますよ。
フィットネスクラブへ通うなど、本格的である必要はありません。
ウォーキングや軽いジョギング、スクワットや腹筋、腕立てなど、自分の身体能力に合わせ無理のない程度に毎日続けるのが良いですね。
なお「介護現場はパワハラが多いの?」と疑問の方や、実際にパワハラに悩んでいる方は、こちらの記事を読んでください。
読み終えると、介護現場のパワハラの実態とよくあるパワハラの事例、パワハラを受けた時の4つの対処法を学べますよ。
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まとめ
では、改めておさらいしましょう。
今回解決した悩み・疑問は以下の3つでした。
1.ご利用者様がわがままなのはどうして?
2.ご利用者様のわがままにどう接して対応すればよいの?
3.効果的なストレス発散法を知りたい
まずは、ご利用者様のわがままの裏に隠された「気持ち」を汲むことが大切であることが分かりましたね。
そして、わがままを訴えるのには主に4つの理由があることも分かったと思います。
そのうえで、わがままなご利用者様に接する時には3つの心構えが必要で、その対応法は5つあることも理解できたことでしょう。
さらに、ストレスを感じた時の2つの発散法も紹介しました。
介護の仕事は、ご利用者様のわがままや理不尽も少なからず存在します。
でも、将来性に溢れ安定して長く働ける、大きなやりがいと魅力に溢れた仕事です。
この記事をきっかけに、ご利用者様と良い関係が築け、ストレスも発散できたのならとても嬉しく思います。
なお、介護の仕事のやりがいと魅力・メリットについて知りたい人は、こちらの記事がお勧めです。
日々感謝をされる、やりがいに満ちた魅力あふれる仕事であることが分かりますよ。
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介護職のやりがいは?日々感謝されるその魅力を介護経営者が解説
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では、今回はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
なお、どうしても今の職場のご利用者様との関係に悩み、大きなストレスを感じている方は、他の事業所へ転職することも1つの選択肢です。
ご参考までに、数ある介護専門転職サイトの中から私が厳選した、下記の5つの転職サイトを紹介しますね。
サイト名 | サイト形態 | 求人数 | 対応地域 | サポート |
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なお、それぞれのサイトについては、以下の記事で徹底的に解説しています。
かなりの長文ですが、転職サイトの選び方や各サイトの特徴、利用するメリットやデメリットなどを細かく解説しています。
これを読むと、優良な転職サイトと事業所に巡り合い満足度の高い転職を実現できますよ!
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