この記事で解決できる疑問・悩み
1.介護の現場で絶対に使ってはいけない言葉遣いはどんなの?
2.介護の現場での正しい言葉遣いを知りたい
今回は、この2つの疑問やお悩みを全て解決していきますよ。
記事を書いている人
Ke
職業:介護施設経営、経営コンサルタント
経歴:大手証券(営業)→大手不動産(経営企画)→大手転職サービス(部長)→起業(代表取締役)
1,000人以上の面接・採用意思決定を経験し、介護施設を10年経営しています。
"経営者(採用する側)"の視点から、求職者(採用される側)の方を成功に導くお仕事情報をお届けしています。
この記事のゴール
1.介護現場で絶対に使ってはいけない言葉遣いや表現が具体的になる
2.介護現場で使うべき正しい言葉遣いが分かる
「いつも現場で何気なく使っているこの言葉遣いって、ホントに正しいのかな?」
介護職の経験が浅いと、こう思うこともあることでしょう。
お客様(ご利用者様)と直接触れ合いその生活をサポートする介護の仕事は、接客業だと私は考えています。
自分は正しいと思っても、お客様が気持ち良いと思ってくれなければ、その言葉遣いは間違っているといえます。
そこで今回は「介護現場で絶対に使ってはいけない10の言葉遣い」について解説しますね。
同時に「正しい言葉遣い」についても、ケアのシーン別に紹介します。
この記事を読み終えると、あなたの接遇スキルは大きく高まりますよ。
そして、ご利用者様をより満足させることができるようになり、日々の仕事がもっと楽しくなることでしょう。
短めの記事なので、時間がない方でもさっくり読めますよ。
それでは、始めましょう!
目次
言葉遣いはサービスの質を左右する
介護現場では、事業所の方針や考え方によってご利用者様に対する言葉遣いが異なります。
高級ホテルのようなサービスを志向する施設もあれば、家族のように温かいサービスがモットーの事業所もあるでしょう。
きっちりした敬語とフランクな言葉遣いのどちらが正しいかに正解はありません。
でも、どちらであっても「決して使ってはいけない言葉遣い」は共通です。
ご利用者様との信頼関係が大切な介護の現場では、言葉1つでケアがスムーズにもなれば、逆にトラブルにもなりますね。
介護現場での「言葉遣い」はそれほど大きな力を持っていて、適切な言葉を選んでご利用者様に伝えることがとても重要です。
正しい言葉を遣うことは、あなた自身の接遇スキルを高めるだけでなく、最終的に「ご利用者様満足=サービスの質」の向上につながりますよ。
ご利用者様も事業所もあなたも、皆がハッピーになるための言葉遣いをこれから解説していきます。
ところで、介護業界は言葉遣いのほかに、おしゃれなどの身なりについてもいろいろな制約があります。
例えば「介護職はピアスしてもO.K.なの?」という疑問は、こちらの記事を読んでみてください。
これを読めば、その答えと3つの理由、介護職のおしゃれはどこまでO.K.なのかが明らかになりますよ!
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介護職はピアスOK?どこまでおしゃれできるかを介護経営者が解説!
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介護現場で絶対に使ってはいけない10の言葉遣い
では、まずは介護現場で絶対に使ってはいけない言葉遣いを解説していきます。
具体的には、以下の10通りがあります。
介護現場で絶対に使ってはいけない10の言葉遣い
1.ため口
2.あだ名・呼び捨て
3.子ども扱い
4.上から目線
5.指示・命令
6.否定
7.制限・禁止
8.脅し
9.専門用語
10.若者言葉・略語
介護職の支援が必要なご利用者様を「自分がお世話してあげているんだ」と思う介護職も、残念ながらいます。
でも、ご利用者様はご利用料金を支払っている「お客様」ですよね。
お客様であり人生の大先輩でもあるご利用者様に対し、くれぐれも失礼のない言葉遣いを心がけましょう。
では、1つずつ見ていきます。
1.ため口
ため口はご利用者様への敬意を書いた失礼な言葉で、厳禁です。
いつも身近に寄り添っている関係だから、自分では親しみを込めたつもりでも、決して使ってはいけません。
「よくできたね」、「ちゃんと歩いて!」など、悪意がないから大丈夫と軽い気持ちで口にしてはいませんか?
ご利用者様は、自分がサポートを受けている立場上、自分の感情を押し殺して我慢していることも少なくありません。
でも、実は傷ついていたり不満を抱いていることも少なくないんですよ。
距離を感じる仰々しい敬語が良いわけではないですが、多くの苦労を経験した人生の大先輩であるご利用者様を敬った言葉遣いを心がけましょう。
「お上手ですね」、「転ばないように気をつけて歩いてくださいね」というのが正しい表現といえますね。
2.あだ名・呼び捨て
ご利用者様をあだ名や呼び捨てで呼ぶのは言語道断です。
子どもの頃は私たちも、親しい友達をあだ名や呼び捨てで呼んだりしていましたよね。
確かに「くん」や「さん」づけで呼ぶよりも親しみがあり、距離感が縮まるのは事実でしょう。
でも、介護の現場はあくまでも「お仕事」の場です。
ご利用者様は、サービス提供の対価として「ご利用料」をお支払いくださっている「お客様」であることを忘れてはいけませんよ。
またご本人だけでなく、ご家族様やケアマネージャーにも失礼に当たりトラブルになることもあるでしょう。
ご利用者様を呼ぶ時は、苗字もしくは名前にしっかりと「さん」を付けて呼んでくださいね。
3.子ども扱い
小さな子供をあやすような、ご利用者様を子ども扱いするような表現を使ってはいけません。
あなたが、自分の思うように身体を動かせず介護が必要になった場合を考えてみましょう。
「はい、あ~ん」、「お利口さんですね~」などといった言葉で、年下の人に子ども扱いされたらどう感じるでしょうか?
決して気分は良くないですよね。
ご利用者様が自分では何もできないから「子どもに接するように助けてあげたい」、「上手くできたら褒めてあげたい」という優しさからくる言葉かもしれませんね。
でも、繰り返しますがご利用者様は人生の大先輩です。
「無理せず口を開けてくださいね」、「〇〇さんの頑張っている姿に頭が下がります」など、気遣いと敬意を持った表現を心がけてくださいね。
4.上から目線
ご利用者様を上から見下ろすような言葉を使ってはいけません。
「やってあげましょうか」、「聞いてあげますよ」など、相手を想う親切心からついこんな表現を使ってしまう人を見かけますが、これは間違いですね。
どちらも、あなたの方が立場が「上」でご利用者様を「下」に感じさせる表現で、敬意が欠けています。
目上の立場なのはあくまでもご利用者様ですよね。
「お手伝いしますので、やってみませんか」、「聞かせてくださいね」など、敬う気持ちを忘れないようにしましょう。
5.指示・命令
指示をするような表現や命令口調の言葉遣いも、決して用いないようにしましょう。
要介護の高齢者様は、人の助けがなければ生活することが難しい方々です。
そのため、優しくサポートをしてあげる必要がありますよね。
でも、忙しさなどから「早く食べてください!」などと指示をしたり、自分の思い通りにならない時に「動かないで!」などと命令口調になっていませんか?
ご利用者様の中には、指示をされても上手くできない方も多く、そのことにとても心を痛めています。
そして、命令をされても「お世話になっているから」と我慢をし、結果的に大きなストレスにつながっているかもしれません。
「先に片づけますが、ゆっくり食べてくださいね」、「こちらで少しお待ちくださいね」など、傷つけないよう丁寧な言葉遣いに徹してくださいね。
また、何かを頼む場合は「~してください」ではなく「~をお願いしても良いですか?」、注意する場合は「~しないで!」ではなく「~は控えてくださいね」という表現が正しいですよ。
6.否定
ご利用者様の言動を頭ごなしに否定してはいけません。
これは、認知症の方に対して特に注意が必要です。
例えば「財布が盗まれてなくなった」と言うご利用者様に対して「最初からなかったでしょ!」と否定しても、良いケアはできません。
仮に事実と違っていても、認知症のご利用者様にとっては紛れもない事実。
頭ごなしに否定をされると、感情的になったり暴力につながることもあることを覚えておきましょう。
例え事実ではなくても、一旦ご利用者様の主張を受け入れ「私も一緒に探すお手伝いをしますね」といった、お気持ちに寄り添った声かけを心がけましょうね。
7.制限・禁止
ご利用者様の言動を制限するような表現にも注意が必要ですね。
特に認知症のご利用者様は、自分の言動をコントロールすることが難しいですよね。
もし誤った言動をとってしまっても、決して故意に行っているのではありません。
一番混乱し困っているのは、他でもないご利用者様です。
「~しちゃダメ!」、「勝手に歩くのは禁止!」など、罰を与え言動を禁止するような表現は決して用いないようにしましょう。
「~は危ないので、気をつけてくださいね」、「歩く時はお手伝いするので、声をかけてくださいね」と、言動を制限・禁止するのではなく、あなたが危険がないようサポートし守ってあげる気持ちで声かけをすると良いですね。
8.脅し
ご利用者様を脅して怖がらせることで、言動を管理してはいけません。
「全部食べないと元気になりませんよ」、「お風呂を嫌がっていると身体が汚れますよ」など、ご利用者様を脅すような声かけをする介護職を時々見かけます。
これにより、ご利用者様を怖がらせ言うことを聞かせようとしているようですが、それは一時的に過ぎません。
返って不安をあおり、精神的に不安定となってしまいます。
ご利用者様の言動には、理由があります。
「なぜ全部食べたくないのか」、「どうして入浴が嫌なのか」。
その理由をできる限り理解し、脅すのではなく、お気持ちを汲み取った対応を心がけましょう。
「食べるのに疲れたら、休み休みゆっくり食べてくださいね」、「お風呂場で滑らないように、ずっと付き添っていますからね」などと声かけをすると、納得感が得られやすくなりますよ。
9.専門用語
介護業界の専門用語を使用するのも避けましょう。
例えば「バイタル図りますよ」、「清拭しますね」などの表現ですね。
介護職のあなたにとっては当たり前の言葉でも、介護のプロではないご利用者様は意味が分からず混乱してしまいます。
中には、意味不明でも聞き返すこともできない方もおり、理解や納得感を得られないままケアをしても決して良い結果を生みませんよね。
経験が長いと、無意識のうちに専門用語を使ってしまっていることもあるでしょう。
でも、常に「相手の視点」に立った「だれもが理解できる言葉遣い」を意識してくださいね。
10.若者言葉・略語
ご高齢世代の方には理解できない、今風の表現を使うのはやめましょう。
流行りの若者言葉や略語を使って話しても、聞き慣れないご利用者様は理解できず困惑するだけです。
「マジ、ヤバいですね」、「ガチです」など、普段使いの言葉で親しみを込めても、相手に正しく伝わらなければ意味がありませんよね。
自分の伝えたいことを相手に正確に伝え「理解」させられなければ、良いケアなどできないし、そもそも接客やサービスをする資格もありません。
「相手が確実に理解できること」を念頭に、使う言葉を適切に選ぶようにしましょう。
【シーン別】正しい言葉遣い
絶対に使ってはいけない言葉遣いについては、概ね理解ができたのではないでしょうか。
では次に、介護現場で使うべき正しい表現や言葉遣いを、日常的なケアのシーン別に紹介します。
1.朝の挨拶・声かけ
「△△さん、おはようございます。
今日も1日よろしくお願いします」。
「おはようございます、○○さん。
ゆっくり眠れましたか?
お食事の準備ができましたよ」。
1日が始まる朝は、その日を楽しく過ごせることへの期待を与えらるよう、明るく元気に挨拶をしましょう。
でも、寝起きが良くないご利用者様も多いですよね。
そのような方には「起きると楽しいことが待っている」ことが伝わるような声かけをすると効果的ですよ。
「美味しい卵焼きと鮭の塩焼きが待っていますよ」、「今日はお花見に出かけますよ」などが良いですね。
2.お食事の時
「〇〇さんのお好きな茶碗蒸しですよ。
具だくさんで美味しそうですね」。
「残さず食べてくれましたね。
調理員さんが喜びますよ」。
身体が思うように動かくなったご高齢者様には「食事だけが生きる楽しみだ」という方もいますよね。
食事の時間が楽しければ、ご利用者様の心の満足度も高まります。
お好きな食べ物の話をしたり、食べてくれたことへの感謝を伝えることで、食べること以外でも楽しくなれるような会話を心がけましょう。
3.入浴の時
「お風呂の準備ができました。
〇〇さんのお好きな少し高めの温度にしていますよ」。
「届かないところはありませんか?
お手伝いするので教えてくださいね」
入浴は、身体を清潔に保つだけでなく、心のリフレッシュにもつながります。
お好きな方には、楽しく入浴できるような声かけをすることを心がけましょう。
また、洗身や洗髪の際、できることをご自分で行っていただくことで残存能力の維持につながります。
そのため、何ができ、何ができないのかを判断するための声かけが大切ですね。
なお、入浴が嫌いな方には強制してはいけませんよ。
「温かいタオルでお身体を拭かせていただけますか。気持ち良いですよ」などと、抵抗を少しづつ取り除くようじっくりと丁寧に話すことが肝要です。
4.排泄の時
「お食事の前にお手洗いはいかがですか?」。
「これからドライブですよ。
念のため、お手洗いに行ってから出かけませんか?」
お手洗いに行くのを面倒がる方や、尿意を適切に表現できない方も大勢います。
そのため「今のうちに行っておくのが良い」ことを理解していただけるような表現で声かけをするのが良いでしょう。
また、排泄の時、他人の介助を受けたい人など誰もいませんよね。
そのため、ご利用者様の羞恥心を理解し心情に寄り添った声かけが重要になります。
恥じらいのある方には「お嫌とは思いますが、少しだけお手伝いしてよろしいですか?ごめんなさいね」、失禁をした方には「人のいないところに行きましょう。お手伝いするので安心してくださいね」といった表現だと、穏やかに応じてくれるでしょう。
5.活動・イベントの時
「お散歩に行きませんか?
〇〇さんが来られるのを皆さんお待ちですよ」。
「今年の桜もきれいに咲いていますね。
また〇〇さんと一緒にお花見ができて嬉しいです」。
レクリエーションやイベントの場は楽しいものなので、あまり堅苦しくならないような表現を心がけましょう。
苦手な方でも参加したくなるよう、明るく元気に笑顔で声掛けすると良いですね。
また、参加してくれたことに対する感謝の気持ちも伝えることも大切です。
なお、ゲームなどで上手くできず不機嫌になった方には「もう少しでしたね。次はきっとうまくいきますよ!」などと、希望を与えるような言葉遣いが効果的ですね。
なお、正しい言葉遣いを用いた適切な声かけのコツについては、こちらの記事が参考になりますよ。
声かけが「重要な理由」と「意識すべき5つのポイント」、特性や日々のケアの場面に合わせた「適切な声かけの事例」について詳しく解説しています!
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声かけは介護の基本!5つのコツとケース別事例を介護経営者が解説!
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敬意と尊重が正しい言葉を生む
ここまで「絶対に使ってはいけない言葉遣い」と「正しい言葉遣い」について見てきましたが、頭では分かっている人が多いと思います。
「分かっていても、つい何気なく口に出てしまう」というのが、実は本音ではないでしょうか。
繰り返しますが、ご利用者様の立場に立って気持ちを考え、敬意と尊重の心を持つことが重要です。
「介護が必要な方に対してこの言葉を使って良いかな?」、「ご高齢の方は、この言葉の意味を理解できるかな?」。
相手のことを思い常にこんな気持ちを持っていれば、自然と正しい言葉が出てくるはずですよね。
正しい言葉遣いは、ご利用者様に「年上の自分に敬意を持ってくれている」、「自分を大切にしてくれている」と思っていただけるだけでなく、スタッフ間のコミュニケーションもスムーズになり活性化されます。
それが、事業所全体の雰囲気の向上につながることを強く意識し、日々の業務に取り組んでくださいね。
まとめ
それでは、最後におさらいをしましょう。
今回解決した悩み・疑問はこの2つでした。
1.介護の現場で絶対に使ってはいけない言葉遣いはどんなの?
2.介護の現場での正しい言葉遣いを知りたい
言葉遣いはサービスの質を左右する、とても重要な力を持っていることが分かりましたね。
そして、介護現場で絶対に使ってはいけない言葉遣いが10種類あることも理解できたでしょう。
また、正しい言葉遣いをケアのシーン別に学ぶことができたのではないでしょうか。
戦争や高度経済成長時代、バブル期など様々な浮き沈みを経験しながら日本を支え、老いや病気、家族との離別などの苦しみを味わいながらも一生懸命生きてきた高齢者様。
そんなご利用者様に対し、敬意の気持ちを持って接してください。
それにより、あなたも幸せを感じ、介護の仕事に一層のやりがいと喜びを感じることができるでしょう。
なお「介護の仕事のやりがいと魅力・メリットってなに?」と疑問の方は、こちらの記事を読んでくださいね。
日々感謝をされる、やりがいと魅力に満ちた仕事であることが分かりますよ。
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では、今回はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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