この記事で解決できる疑問・悩み
1.介護で転職する時、転職理由を正直に伝えて良いの?
2.前向きな転職理由にするにはどうすれば良いの?
3.面接官に好印象を与える転職理由の事例を知りたい
こんな疑問や悩みを抱えていませんか?
今回の記事では、このすべてを解決していきます。
記事を書いている人
Ke
職業:介護施設経営、経営コンサルタント
経歴:大手証券(営業)→大手不動産(経営企画)→大手転職サービス(部長)→起業(代表取締役)
1,000人以上の面接・採用意思決定を経験し、介護施設を10年経営しています。
"経営者(採用する側)"の視点から、求職者(採用される側)の方を成功に導くお仕事情報をお届けしています。
この記事のゴール
1.介護の面接で転職理由を聞かれる意図を理解できる
2.転職理由を考える時の注意点が明確になる
3.理想的な転職理由をまとめることができる
介護業界だけでなく、採用面接の時に必ず聞かれるのが転職(退職)理由。
でも「本当の退職理由を正直に伝えると、面接官の印象が悪いかも・・・」と悩む方も多いのではないですか?
そこで今回は「採用する立場」から、そもそも面接官が「転職理由を聞く4つの意図」を解説します。
それを踏まえ「転職理由を考える際のポイント」と「模範回答5例」、入社後のミスマッチをなくすための「転職先の見極め方」についても説明します。
最後まで読み終えると、きっとゴールに辿り着けるでしょう。
あなたにとって理想的な転職理由をまとめ上げ「内定」という最終目標を達成してください。
それでは、張り切っていきましょう!
介護の面接で転職理由を聞く面接官の4つの意図
結論からいうと、以下の4つの意図があります。
面接官の4つの意図
1.介護の仕事への情熱を確認する
2.長く働けそうかを見極める
3.社風や雰囲気とマッチするかを把握する
4.トラブルを起こしていないかを確認する
では、面接官の気持ちを解説しながら、1つずつその意図を説明していきます。
ちなみに、面接官の気持ちとこの意図が分かれば、ゴールはもう半分達成ですよ!
ぜひ、面接官の視点に立って読み進めてくださいね。
なお、そもそも「履歴書の書き方を知りたい」という方は、こちらの記事を読んでくださいね。
これを読むと、私が書いた履歴書のお手本に沿って具体的な書き方と注意点を学べ、面接官の心に響く履歴書が書けるようになりますよ!
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見本から学ぶ!介護職の履歴書の書き方を転職と介護のプロが解説!
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1.介護の仕事への情熱を確認する
この時の面接官の気持ち
「会社に貢献してくれる人を採用したい」
面接官は、これを実現するためにプレッシャーと責任を負っています。
仕事で成果を出し活躍するのは「その仕事に強い情熱を抱いている」、「成長意欲にあふれ明確な目標を持っている」人です。
そしてそのような人が「会社に貢献してくれる人」といえます。
退職理由を聞くことで、会社への貢献可能性を図ろうとしているんですね。
2.長く働けそうかを見極める
この時の面接官の気持ち
「人手不足だからずっと働いてくれる人を採用したい」
面接官は、十分な働き手を確保することに日々奔走しています。
そして、人手を確保できないと施設の運営に大きな影響があるため、日々プレッシャーを感じています。
介護業界は深刻な人材不足で、新しい人を採用するのは簡単ではありません。
また、採用できても、一人前に育成するには多くの時間と労力がかかります。
そのため「すぐに辞めず長く働いてくれる人」を採用したいのです。
退職理由を聞くことで、長く働く意思を見極めようとしているんですね。
3.社風や雰囲気とマッチするかを把握する
この時の面接官の気持ち
「入社後に馴染めずに浮いてしまったら困る」
面接官の仕事は、単に「長く勤めてくれる」人を採用することではありません。
「事業所の理念や想いに共感し、周囲と良い関係を築ける人」を採用するため、精魂込めて面接に励んでいるんです。
介護事業所によって、理念や想い、特徴は様々ですよね。
家庭的で柔軟なケアがモットーの事業所もあれば、事務的でビジネスライクな事業所もあります。
その方針に合わなければ職場に馴染めず、浮いてしまうことになるでしょう。
また、介護はチームで行う仕事なので、周囲との適切な連携や気配り、円滑なコミュニケーションなどが求められます。
退職理由を聞くことで、雰囲気に馴染み周囲と協調してやっていけるかを把握しようとしているんですね。
4.トラブルを起こしていないかを確認する
この時の面接官の気持ち
「入社後にトラブルを起こしたら困る」
当然ながら、トラブルを巻き起こしそうな人を採用したい面接官はいません。
自分の評価にも関わるため、そんな人材をしないよう、面接官は神経をすり減らして見極めようとしています。
過去に虐待や事故などに直接関わったことや、勤務態度などに問題があった人は、繰り返す傾向にあります。
そんな人材を雇用するのは、事業所の健全な運営に大きな支障を来たすでしょう。
退職理由を聞くことで、トラブルを起こす可能性を確認しようとしているんですね。
ポイントは4つ!転職理由はこう伝える
面接官の気持ちと転職理由を聞く意図が分かったたら、あとはそんなに難しくはありませんよ。
では、ここからは転職理由をどのようにまとめ伝えたらよいかを見ていきましょう。
ポイントは次の4つです。
転職理由をまとめる4つのポイント
1.嘘は厳禁
2.批判や愚痴は口にしない
3.退職理由を前向きに表現する
4.介護への熱い想いを伝える
順に解説していきます。
1.嘘は厳禁
実際には思ってもいない嘘の理由を伝えるのはNGです。
偽って内定をもらっても、後々苦しくなるし、どこからか事実が伝わってしまう可能性もあります。
そのため、隠さずに正直に伝えることは最低限守ってくださいね。
もし「実際の退職理由はネガティブ過ぎていえない・・・」と悩んでいても大丈夫!
同じ事実でも、伝え方を工夫するだけで噓なく前向きな理由に変えることができるんです。
こちらは「2-3.退職理由を前向きに表現する」で解説します。
2.批判や愚痴は口にしない
前職への不満が事実だとしても、面接の場で話すと「うちに来ても不満ばかり言ってすぐに辞めるのでは」と判断されます。
もしあなたが面接官だったら、そんな人を採用しますか?
これから一緒に働きたいと思いますか?
実際に私も、面接で前職の批判や愚痴を口にする方をたくさん見てきました。
そして、そんな方を採用したことは1度もありません。
どんなにスキルや経験、情熱があったとしてもです。
不満や愚痴は、自分の価値を下げるだけ。
「その不満をどう解決し乗り越える努力をしたのか」を伝えることに力を注ぎましょう。
3.退職理由を前向きに表現する
たとえ退職理由がネガティブでも、それを「前向きに改善するための転職」であることを表現しましょう。
介護業界の退職理由は「人間関係」や「事業所の理念や方針への不満」といった理由が多く、ポジティブなものではありません。
でも、それをそのまま伝えるのではなく、ポジティブな理由に変えてみましょう。
例えば「レベルの高い仕事をさえてもらえなかった」のが本音の退職理由なら「よりスキルが求められる高度な仕事にチャレンジしたいから」といった感じです。
嘘なく、ネガティブな理由がポジティブで好印象に変わったのが分かりますよね。
4.介護への熱い想いを伝える
介護業界で求められるのは、結局は「介護の仕事にどれだけ強い情熱を持っているか」です。
あなたが介護の面接を受けるのは、前職を辞めた理由がどれだけネガティブでも「それでも介護の仕事がしたい!」と思っているからですよね。
その想いを存分にアピールすることが重要です。
私は個人的に、情熱は経験やスキルに勝ると思っています。
「やっぱり介護がやりたい」という気持ちは、何よりもポジティブで面接官の心を打つんですよ。
退職理由別 模範回答5例
2-3.で「退職理由を前向きに表現する」ことがポイントと解説しました。
ネガティブになるのは、目標があるのに実現できていないから。
つまり、あなたはすでに前向きな理想を持っているんですよ!
「ネガティブな退職理由」を、その理想や目標に沿った「ポジティブな転職理由」に変えることができたら、もう悩む必要はありません。
では、主な退職理由別に、ネガティブな理由をポジティブに表現しながら5つの模範回答例を紹介していきます。
これを参考に、あなたなりのベストな転職理由をまとめ上げましょう。
1.人間関係に関する理由
ネガティブな退職理由
スタッフ間に派閥があり、風通しが悪く人間関係がギスギスしていたため
前向きに表現するには
人間関係の悪さをそのまま退職理由にすると「チームプレーができない」、「協調性がない」と見なされ、内定は遠のきます。
そのため「改善のために努力した」姿を示しつつ「理想や目標実現のため」という前向きな転職理由に変えて伝えましょう。
ポジティブな転職理由
周囲と連携・協調し積極的にコミュニケーションをとりながら、チームプレーを重視して仕事に取り組むため
模範解答例
前職では、スタッフ内に派閥があり、派閥間の人間関係が良くありませんでした。
その中で私は、中立的な立場で皆と平等に接しましたが、1人で状況を変えるには限界がありました。
私が仕事をする上で大切しているのは、チームワークです。
全ての人と連携・協調し、積極的なコミュニケーションを取りながら仕事をするという信念を、貴事業所では体現できると考え転職を決意いたしました。
2.事業所の方針や運営に関する理由
ネガティブな退職理由
経費を抑えるためスタッフを増員せずいつも人手不足で、十分なケアができなかった
前向きに表現するには
不満があるということは「成し遂げたい思い」があるということです。
「自分が成し遂げたい思いはどんなもの」で「それを実現するために転職する」というように、前向きに表現しましょう。
なお、前職の方針や運営への不満をストレートに伝えると、面接官は「不平不満が多いから一緒に働きたくない」と判断するので、気をつけてくださいね。
ポジティブな転職理由
ご利用者様と密に関り、手厚いサポートをしたいと考えたため
模範解答例
私は、1人1人のご利用者様にじっくりと向き合い、密に関りながら手厚いサポートをすることを日頃から心がけております。
ウェブサイトを拝見し、貴施設は各ご利用者様と家族のように密接に関わっていらっしゃることを知り、大変共感を覚えました。
貴施設で、自分が目ざす介護を実現したいと考え、この度志望させていただきました。
3.業務内容に関する理由
ネガティブな退職理由
任せてもらえる業務が限定され、やりたいことができなかった
前向きに表現するには
仕事の内容に不満があるのは「やりたい仕事が明確」だからです。
やりたいことを具体的に示しながら「その意欲が旺盛である」ことと「やりたい仕事を通してスキルアップし成長したい」という前向きな意思を伝えましょう。
面接官は「前向きな意志を持っている人は会社に貢献してくれる」と考えるので、好印象となりますよ。
なお、単に「簡単な仕事しかさせてもらえなかった」という理由だけでは、自分本位でわがままと見なされるので、留意してくださいね。
ポジティブな転職理由
自分が得意なことを通してスキルアップし、貢献したいと考えたため
模範解答例
前職では、資格ごとに担当する業務が明確に規定されており、介護員初任者研修しか有していない私にはできない仕事もありました。
私は、学生時代イベントサークルに所属しており、イベントを企画し実行することが得意です。
貴施設のブログを拝見しましたが、多種多様なレクリエーションを実施されている所にとても魅力を感じました。
自分が得意でやりたいことを通してご利用者様に喜んでいただきながら、スキルを磨き成長し貢献したいと考え、この度志望させていただきました。
4.体力面に関する理由
ネガティブな退職理由
日勤と夜勤が不規則で、体力的にきつい
前向きに表現するには
身体への負担に関する理由は「労働環境や条件が改善すれば頑張りたい」という意思の現れです。
終日稼働している施設型施設に変えてデイサービスなどの日帰り型サービスを選ぶ、同じ施設型でも有料老人ホームといった自立度の高い方の多い施設を選ぶ、などの対応で解決するのが得策でしょう。
介護の仕事は、肉体に負担がかかることは大前提です。
単に「身体がキツイ」といった理由を述べるだけでは「そもそも介護に向いていない」と面接官は判断するので、注意してくださいね。
ポジティブな転職理由
体力を充実させたまま、高いパフォーマンスを提供したい
模範解答例
特別養護老人ホームに長年勤務してきましたが、50代になり、日勤と夜勤の不規則なシフトで疲労感を感じるようになりました。
しかし、日勤や夜勤専門といった規則的な勤務であれば体力面は問題ございません。
また介護の仕事への強い情熱も変わらず持っております、
デイサービスである貴施設で、長年の介護経験を活かし貢献をしたいと考えております。
5.条件、待遇面に関する理由
ネガティブな退職理由
人手不足で休憩時間もとれず、給与も仕事に見合わず低かった
前向きに表現するには
労働時間が長いことは「オフはリフレッシュし張り切って仕事に臨みたい」という意欲の現れです。
また、給与が安いことは「正しく評価をされたら頑張れる」という気持ちがあるということです。
「メリハリをつけることでよりよい成果を提供できる」というメリットと「正しく評価されることでやりがいを持てる」ことを伝えられたらベストですね。
なお、給与や休日といった条件面の不満は、自分本位と見なされ面接官は敬遠します。
単に「休みが少ない」、「給料が安い」ことだけにフォーカスすることは避けてくださいね。
ポジティブな転職理由
オンとオフのメリハリをつけ意欲的に業務に取り組みたい。
仕事の成果を評価してもらい、モチベーションにつなげたい。
模範解答例
先日、施設見学に伺った際、休日体制が整備され、また年2回の評価制度があることをお聞きしました。
私は、休日に静養したり趣味で気分転換することで、仕事でも良いパフォーマンスを発揮できると考えております。
また、仕事の成果が正しく評価されるとやりがいとモチベーションを感じるため、きっと貴事業所に貢献できると考え、志望いたしました。
志望先の選別が将来を左右する
ここまでで、転職理由の考え方は理解できたのではないでしょうか。
でも、それ以上に重要なことが1つあります。
それは、転職を成し遂げた「その先」を考えることです。
転職によって、現状の不満が解消できたり、成し遂げられなかったことを実現できるようになりますね。
でも、転職には、それなりの労力と時間、ストレスや不安が付きまとうのも事実です。
だから「不満なく自分のやりたいことを実現し続けられる可能性のある会社」に長く務めることを意識するようおススメします。
そんな会社があるのかは誰にも分からないし、理想の会社なんて存在しないかもしれません。
でも、あなたがもし「とりあえず、どこでもいいから雇ってもらい、嫌なら辞めればいい」という考えなら、転職回数は増え続け、印象は悪化するだけです。
「理念や想いに共感できるか」、「社風や雰囲気は合っているか」、「やりたいことができそうか」、「条件に納得できるか」。
事前に応募先をじっくりと研究し、将来の不満の種を1つずつ潰しながら、長く働きたいと思える会社を吟味し見極める努力は怠らないでほしい、というのが私の願いです。
なお、転職の成功は、いかに優良な転職サイトを利用するかに左右されます。
こちらの記事では、膨大にある介護の転職サイトの中から、介護と転職のプロの視点で今絶対に使うべき転職サイトを5つだけ厳選し紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
これを読めば、きっと満足度の高い転職活動ができ、転職に成功できますよ!
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まとめ
では、最後におさらいしましょう。
今回解決した悩み・疑問はこの3つでした。
1.介護で転職する時、転職理由を正直に伝えて良いの?
2.前向きな転職理由にするにはどうすれば良いの?
3.面接官に好印象を与える転職理由の事例を知りたい
転職理由を聞く面接官の「気持ち」と「意図」が分かり、面接官の心に響く前向きで印象的な転職理由の伝え方を、5つの回答例を通してイメージできたことでしょう。
この記事を読み終えたら、さっそく転職理由をまとめる作業に取りかかりましょう!
そして、内定というゴールを勝ち取ることを願っています。
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今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。