この記事で解決できる疑問・悩み
1.介護職のボーナスってどのくらいなの?
2.そもそもボーナスってなに?どう決まるの?
3.ボーナスを増やすためにはどうすれば良いの?
今回は、こんな疑問やお悩みを全て解決していきます。
記事を書いている人
Ke
職業:介護施設経営、経営コンサルタント
経歴:大手証券(営業)→大手不動産(経営企画)→大手転職サービス(部長)→起業(代表取締役)
1,000人以上の面接・採用意思決定を経験し、介護施設を10年経営しています。
"経営者(採用する側)"の視点から、求職者(採用される側)の方を成功に導くお仕事情報をお届けしています。
この記事のゴール
1.介護職の平均的なボーナスの額が分かる
2.支給の条件や時期など、ボーナスの基本知識が身につく
3.ボーナスを増やすためにするべきことが分かる
「介護職の給与って安いよね」、「ボーナスってもらえるの?」と思う方も多いでしょう。
介護は多くの人に感謝されるやりがいのある仕事ですが、給与やボーナスが充実しているとよりモチベーションも高まりますよね。
そこで今回は、介護職のボーナス事情について詳しく解説しますよ。
「そもそもボーナスってなに?どのように決まるの?」といった基本知識に加え、「介護職の平均的なボーナスの額」を紹介します。
また「ボーナスを増やすための方法」についても公開しますね。
最後まで読むことで、介護業界のボーナス事情が分かり、ボーナスを増やすためにやるべきことも明確になりますよ。
この記事をきっかけに、ぜひボーナスや収入を増やすためのチャレンジを始めてくださいね。
それでは、スタートです!
目次
そもそもボーナスってなに?
介護職のボーナス事情を解説する前に、まずはボーナスの基本的な疑問に答えていきますね。
1.不定期に支給され支給義務はない
ボーナスは「賞与」とも呼ばれ、毎月の給料とは別に会社から支給される賃金です。
また、ボーナスは法律上は「労働者の勤務成績に応じて支給され、支給額が予め確定されていないもの」とされています。
つまり、会社に支給する義務はなく、介護業界に限らずボーナスの支給がない会社もあります。
必ずしももらえるものではないことを、覚えておきましょうね。
2.支給額はどう決まるの?
ボーナス(賞与)の査定は会社ごとに異なり、絶対的な基準はありません、
一般的には、役職や勤続年数、個人能力の評価など複数の項目を、各会社ごとの査定基準に照らし合わせ総合的に判断することが多いですね。
求人票には「賞与あり 年2回、3ヶ月分」などと記載されることが多く、「基本給の◯ヵ月分」で計算する事業所がほとんどのようです。
なお、個人的にどれだけ頑張って結果を出しても、会社全体の業績が悪い場合は支給額に影響します。
逆に、業績が良い場合は支給額が増えることもありますね。
いずれにしろ、査定で良い評価をされるためには、日頃から仕事に真剣に取り組み会社に貢献することが大切ですよ。
3.支給時期に決まりはあるの?
他の業界と同じく、夏と冬の年2回支給する事業所が一般的ですね。
概ね、夏は6月~7月、冬は12月に支給することが多いようです。
でも、支給時期や回数に決まりはなく会社側が自由に設定できます。
年1回の事業所もあれば、年3回の事業所もありますね。
なお、ボーナスは、入社から一定の期間が経過しないと支給されないケースがほとんどです。
例えば「入社から1年経過した社員」が支給対象の会社は、8月1日に入社をした場合、翌年の夏のボーナス(6月の場合)ではまだ1年を経過していないため、対象とはなりません。
ボーナスの支給条件は会社の就業規則で定められているので、曖昧にせずしっかりと人事担当者に確認しましょう。
4.支給している事業所の割合は?
全体の7割以上の事業所が、賞与を支給しています。
その割合は年々増えていて、約71.9%の事業所で定期的に支給しています(出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』)
また、経営状況に応じて賞与を支給している事業所を含めると、その割合は90.9%になります。
「介護業界は給料が安くボーナスも出ないのでは」と不安に思っていた方も、少しはホッとしたかもしれませんね。
【全体】介護職のボーナス 平均額
ボーナスについて基本的なことが分かったところで、実際のボーナスの平均額を見てみましょう。
その額は、54.1万円となっています。(出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』)
夏と冬の年2回と仮定すると、1回あたりの支給額は約27万円ですね。
【年齢別】介護業界のボーナス 平均額
次に、年齢別のボーナスの平均額を見てみましょう。
年齢 | 平均賞与 |
20歳未満 | 36.6万円 |
20歳以上25歳未満 | 46.6万円 |
25歳以上30歳未満 | 51.1万円 |
30歳以上35歳未満 | 55.5万円 |
35歳以上40歳未満 | 59.6万円 |
40歳以上45歳未満 | 63.3万円 |
45歳以上50歳未満 | 62.8万円 |
51歳以上55歳未満 | 60.6万円 |
55歳以上60歳未満 | 63.1万円 |
61歳以上65歳未満 | 51.0万円 |
65歳以上70歳未満 | 40.1万円 |
70歳以上 | 34.8万円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』
介護業界は、年齢や性別による給与・賞与の差はなく、「経験」と「保有資格」、「勤続年数」がベースとなります。
20代の若年のうちは経験年数や勤続年数が短いため賞与は低めですが、30代にかけて上昇してからははさほど大きく変わりません。
そして、40代後半~50代前半にかけていったん減少しますが、これは未経験から新たに介護を始める人も一定数いることなどが要因と考えられますね。
また、60歳を超えると大きく減っていますが、その要因としては体力的な問題などから責任や業務量が減ることなどが考えられます。
介護職のボーナスアップ5つの方法
ではここからは、今の賞与の額に不満を持つあなたが、ボーナスアップを勝ち取るための方法を5つ紹介します。
具体的には、以下の5つです。
ボーナスアップのための5つの方法
1.資格を取得する
2.異なる職種を目ざす
3.勤続年数を増やす
4.管理職を目ざす
5.より待遇の良い事業所へ転職する
ボーナスアップには、日々の努力が欠かせません。
でも、努力をすれば必ず目に見える結果を得ることができますよ。
この記事を読み終えたら、さっそく今からできることにチャレンジしてくださいね。
では、1つずつ解説します。
1.資格を取得する
介護の仕事をする上で、資格を持っているとあらゆる面でプラスになります。
介護職の資格は、難易度順に「介護職員初任者研修」、「介護福祉士実務者研修」、「介護福祉士」などがあり、上位資格になるほど給与(資格手当)が増えます。
そして、給与のみではなく、ボーナスアップにもつながるんですね。
実際に、資格別の平均賞与を見てみましょう。
保有資格 | 平均賞与 |
なし | 38.9万円 |
介護職員初任者研修 | 44.0万円 |
介護福祉士実務者研修 | 44.3万円 |
介護福祉士 | 58.7万円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』
資格の取得により5万円以上、中でも介護系では唯一の国家資格である「介護福祉士」を取得すると、ボーナスが大幅にアップしていることが分かりますね。
介護業界では、資格の取得がすぐに給与や賞与に反映されます。
収入を増やすにはどんな資格が必要なのかを踏まえ、将来の目標を明確にし、早速行動を開始してくださいね。
なお、介護業界のキャリアアップの仕方について詳しく知りたい方は、こちらの記事がお勧めです
これを読めば、キャリアアップの仕組みや必要な経験・資格、給与の増加額がはっきり分かりますよ!
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介護職のキャリアアップ!仕組みや昇給額を介護経営者が解説
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2.異なる職種を目ざす
介護職以外の職種に就くことで、大幅なボーナスアップが見込まれます。
では、介護現場の主な職種別の平均賞与を見てみましょう。
職種 | 平均賞与 |
介護職 | 54.1万円 |
サービス提供責任者 | 59.9万円 |
生活相談員 | 64.9万円 |
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士 | 66.4万円 |
介護支援専門員 | 68.0万円 |
看護職員 | 69.1万円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』
介護業界にはたくさんの職種があり、それぞれに必要な資格や業務内容は異なります。
どの仕事も専門性が高いですが、その専門性の高さや資格取得の難易度に応じて賞与は増加するといえますね。
なお、介護業界の主な職種と必要な資格をもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事を読んでください
これを読めば、介護業界の11の職種と仕事内容、活躍できる事業所、必要な資格などが全て分かりますよ!
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介護の11職種を一覧に!仕事内容と必要な資格を介護経営者が解説
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3.勤続年数を増やす
ボーナスは、勤続年数に比例して増加するのが普通ですね。
実際に、勤続年数と賞与の関係を見てみましょう。
勤続年数 | 平均賞与 |
1年未満 | 30.6万円 |
1年以上2年未満 | 37.0万円 |
2年以上3年未満 | 47.7万円 |
3年以上4年未満 | 50.1万円 |
4年以上5年未満 | 52.7万円 |
5年以上10年未満 | 57.4万円 |
10年以上15年未満 | 67.2万円 |
15年以上20年未満 | 79.7万円 |
20年以上 | 98.8万円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』
賞与は「基本給の◯ヵ月分」で計算されるのが一般的と前述しましたね。
勤続することで任される業務や責任が増し定期昇給につながり、それに準じて賞与もアップするといえます。
また、年齢による年功序列ではなく経験年数による影響が大きいことも、介護業界のボーナスの特徴ですね。
なお、事業所によっては入社1年未満の場合はボーナスが支給されないケースや、ごくわずかということもあるので留意しましょう。
4.管理職を目ざす
管理職になることでも、賞与は大幅にアップしますね。
役職には「主任」や「ユニットリーダー」、管理職である「課長」、事業所のトップである「管理者(施設長)」といったものがあります。
いずれも、役職手当や管理職手当などが支給され、給与のみではなく賞与にも大きな影響がありますね。
では、実際に管理職と非管理職の給与の差を見てみましょう。
なお、管理職のデータは「管理者」のものしかないため、一般の介護職と管理者のみを比較します。
職位 | 平均賞与 |
一般介護職 | 54.1万円 |
管理者 | 74.8万円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』
仕事の範囲が幅広く、マネジメントといった大きな責任を負う分、ボーナスが多いのは当然ですね。
管理者になるには相応の時間がかかるので、まずは主任や課長を目ざしましょう。
職位が上がるにつれ、給与や賞与も比例的に増えていきますよ。
日々の業務を通して経験を積みつつ、資格取得で知識とスキルを高めることに加え、皆に信頼され目標とされる存在になるよう努力してくださいね。
5.より条件の良い事業所へ転職する
より条件の良い事業所へ転職することも、有効な選択肢といえますね。
実は、ボーナスの支給額は事業所によって千差万別で、事業所の形態や規模ごとに分けて見ると、明確な差があるんですよ。
まずは、主な事業所の形態ごとの平均賞与を見てみましょう。
事業所の形態 | 平均賞与 |
訪問介護事業所 | 43.8万円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 44.6万円 |
認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム) | 44.7万円 |
短期入所生活介護(ショートステイ) | 47.1万円 |
通所介護事業所(デイサービス) | 48.4万円 |
介護老人保健施設 | 68.9万円 |
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) | 78.5万円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』
次に、事業所の規模ごとの平均賞与です。
事業所の規模(従業員数) | 平均賞与 |
4人以下 | 39.1万円 |
5人以上9人以下 | 43.6万円 |
10人以上19人以下 | 59.7万円 |
20人以上49人以下 | 68.3万円 |
50人以上99人以下 | 71.1万円 |
100人以上 | 63.6万円 |
出典:公益財団法人 介護労働安定センター 『令和元年度介護労働実態調査』
データを見ると明らかでしょう。
特別養護老人ホームや老人保健施設といった大規模形態の方が、訪問介護やグループホームのような小規模形態よりもボーナスが圧倒的に多いですね。
前者は医療法人や社会福祉法人といった資金力のある母体が経営しているため、経営が安定しています。
それは、要介護度が高い方が多いため、事業所の売上となる介護報酬が高いことが要因の1つですね。
対して後者は、中小企業による運営が多く介護度が低い方が中心のため、介護報酬も低めとなっています。
また、前者の形態はスキルや経験、体力や強いストレス耐性が求められるため、給与自体が高めに設定されていることも、賞与が多い要因ですね。
これらから、ボーナスを増やすためには、より介護度が高い方が多く規模が大きな事業所や、資金力のある法人が経営する事業所への転職がお勧めです。
ちなみに、より条件の良い事業所へ転職したい方は、数ある介護専門転職サイトの中から私が厳選した、下記の5つの転職サイトを利用してみてくださいね。
サイト名 | サイト形態 | 求人数 | 対応地域 | サポート |
ミラクス介護 | エージェント型 | ◎ | 〇 | ◎ |
かいご畑 | エージェント型 | 〇 | 〇 | ◎ |
きらケア介護求人 | エージェント型 | ◎ | 〇 | ◎ |
介護ワーカー | エージェント型 | ◎ | ◎ | ◎ |
カイゴジョブ | サイト型 | 〇 | ◎ | 〇 |
なお、それぞれのサイトについては、以下の記事で徹底的に解説しています。
かなりの長文ですが、転職サイトの選び方や各サイトの特徴、利用するメリットやデメリットなどを細かく解説しています。
これを読むと、優良な転職サイトと事業所に巡り合い満足度の高い転職を実現できますよ!
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転職と介護のプロ経営者が厳選!今使うべき5つの介護転職サイト
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ボーナスより「年収」を意識しよう
ここまで読んできて、ボーナスの額にとらわれすぎてしまっていないでしょうか?
確かにボーナスは、働くうえでのモチベーションになる、とても大切な要素です。
でも、意識すべきは「年収」。
つまり「1年にどれだけの収入が得られるか」です。
ボーナスがない会社が、必ずしも年収が低いとは限りません。
ボーナスを支払わず、あえて基本給や手当を増やして、毎月支給する給与を高く設定する事業所もあります。
またそれらの事業所は、年2回しかもらえない分を前倒しで毎月支給してくれる「優良な会社」と考えることもできます。
そして、結果的にボーナスを支給する事業所よりも「年収」が高くなるケースも往々にしてあるんですね。
そのため、転職をする際は、ボーナスは参考程度に考え、あくまでも「年収」を意識することが重要ですよ。
まとめ
では、最後におさらいをしましょう。
今回解決した悩み・疑問は以下の3つでした。
1.介護職のボーナスってどのくらいなの?
2.そもそもボーナスってなに?どう決まるの?
3.ボーナスを増やすためにはどうすれば良いの?
ボーナスについての基本的な疑問が明らかになったことでしょう。
また、介護職が平均してどのくらいのボーナスをもらっているかが分かりましたね。
さらに、「資格」、「職種」、「勤続年数」、「役職」、「事業所の形態・規模」によってボーナス大きな差があることにも気づきましたね。
そして、「ボーナスの額」ではなく「年収」を意識することが重要ということも学べたことしょう。
実は介護業界は今、国が主導して介護職の収入の増加を推進しています。
それは「介護職員処遇改善加算」という取り組みです。
具体的には、介護職の給与や研修制度を充実させている事業者を経済的に優遇する制度で、介護職の給与アップが目的です。
それにより、実際に介護職の給与が年々上昇傾向にあるんですね。
その結果、ボーナスの支給額も増加傾向にあります。
「収入が少ない」といわれる介護業界ですが、将来性があり安定して長く働き続けられる数少ない業界です。
この記事をきっかけに、ぜひ新たに介護業界に飛び込んでくる方や、介護業界で長く働こうという方が1人でも増えてくれると嬉しいです。
なお、介護職の平均年収について知りたい方は、こちらの記事を読んでくださいね。
これを読めば、介護職の平均年収と将来の見通し、年収アップの6つの方法が分かりますよ。
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では、今回はここまでです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。